電車に車検はあるか?
ある。
(あ、車検って、子供はわからんか・・・ごめんね。気になるなら、今すぐ調べなさい。これ大切)
昨日は、鉄道車両の検査工場へ見学に行った。
鉄道車両?検査工場?何をするのか?
要するに車検だ。電車をバラバラにして、ゆがんでいるところや、へたっているところを探す。あれば、新しいものと交換する。で、最後に組み直す。
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工場は広かった。最初どこが入り口かわからず迷った。引き込み線が10本くらいあったので、それくらいの大きな駅を思い出してもらえばよいと思う。
駅と違うのは、重ねたレターケースのような大きな「2層の箱」になっている点。「2階立ての建物」と書かなかったのは、仕切がぜんぜんなかったからだ。天井も高い。やたら見通しが良い。いろいろ見える。
そういえば何かのドラマで、こんなシーンがあった。ヘルメットをかぶってスーツを着た社長が工場の中を歩きながら、あちらこちらを指さしては部下にあれこれ指示を出している。
そこで、私も社長(の気分)になってみることにした。
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床がきれいに掃除されている。よろしい。おっと、1つだけゴムの輪っかが落ちていた(パッキンだそうな)。まあ許そう。
<す べての工具>はパネルにさしたフックにかけるようになっており、<すべての工具>に「17mmレンチ」などの名前が(テプラで)貼ってある。<すべての工 具>に赤や緑のビニールテープも巻いてある。さらに、<すべての工具>が、パネルから外すとパネルにはその工具のシルエットがペンキで塗られていて、「今 は誰かが使っている」ということがわかるようになっている。置き忘れ防止だ。
我ながら隙がない。見事だろう?
あらゆると ころに確認事項が書かれている。歩道の境目に「指さし確認」。荷台が通過するところに「飛び出し注意」。大きな作業機械の操作盤のそばに「立ち入り禁 止」。クレーン装置のそばに「声出し確認」。ここでは、過去のすべての失敗が死なずに生きている。掲示主義とでもいうべき思想が貫かれている。
どうだ、この徹底ぶり。これこそ我が誇り。
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しかしこの工場も人数が減った。昔は2000人を超える工員が働いていたのに、今や600。なぜかって?時代だよ、時代。
昔の電車は鉄の箱だった。錆止めのために、オレンジ色やら黄緑色に塗って使った。それでも錆びるので、しょっちゅう削っては塗り直した。今の電車はステンレスだ。ステンレスは素晴らしい。錆びないし、軽い。車体が軽いと台車にかかる重さも軽くなり、台車も長持ちする。
昔 はすべて手作業だった。名工たちが削り、延ばし、曲げて、組んだ。油まみれで真っ黒になりながら働いた。今はロボットと電子部品にとって代わられてしまっ た。ボタンを押せば、ロボットが命令されたとおりに加工してくれる。電子部品はブラックボックスだ。壊れても修理せず、交換する。
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科学は進歩した。安く、速く、強く、長く、正確になった。そして工場は変わった。時代だよ、時代。めぐりそうには思えないが。