Feel Physics | in Mixed Reality - Education | Blog

Physics Education with Mixed Reality (HoloLens)

脱法ドラッグの仕組み その鍵は一酸化窒素の血管拡張作用にあり

20060111114013

上図は亜硝酸ナトリウムの分子構造。この右側の亜硝酸が厄介者である。見てわかる通り、一酸化窒素に分解しそうな形をしている。これが気分を良くするドラッグ的効果を持つのである。

ドラッグは、うちの学校ではまだ入ってきていないが、都心部の中学校に以前お邪魔したとき、階段の渡り廊下一面に生徒たちが描いた「ドラッグやめよう」ポスターが貼ってあったのが印象的だった。都心部では、かなり問題が深刻化しているのかもしれない。

リンク: asahi.com: 脱法ドラッグ、初の刑事罰適用へ協議 厚労省・警視庁-社会.

「RUSH」は亜硝酸エステル類を含有する液体で、吸引すると血管の膨張作用で気分が良くなるが、血圧が急激に低下するため死亡する危険性もある。米国では製造販売が禁止されているという。

以下、亜硝酸エステルが麻薬としてはたらく仕組みについて:

リンク: 亜硝酸 - Wikipedia.

生体への作用

亜硝酸自体あるいは亜硝酸亜硝酸エステルは分解すると一酸化窒素を発生するので、強い血管拡張作用を示す(NO合成酵素に詳しい)。

リンク: 一酸化窒素 - Wikipedia.

血管内皮は一酸化窒素をシグナルとして周囲の平滑筋を弛緩させ、それにより動脈を拡張させて血流量を増やす。これがニトログリセリン亜硝酸アミルなどの 亜硝酸誘導体が心臓病の治療に用いられる理由である。これらの化合物は一酸化窒素に変化し、心臓の冠動脈を拡張させて血液供給を増やす。

一酸化窒素は陰茎の勃起でも働いており、やはりcGMP分解抑制薬であるシルデナ フィル(バイアグラ)はこのメカニズムを利用したものである。

一酸化窒素は神経伝達物質としても働く。シナプス間隙のみで働く多くの神経伝達物質と異なり、一酸化窒素分子は広い範囲に拡散して直接接していない周辺の ニューロンにも影響を与える。このメカニズムは記憶形成にも関与すると考えられている。