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Physics Education with Mixed Reality (HoloLens)

知られざる製品開発の世界

昨日の実験は何とか無事終わった。興味深かったのは、実験助手ボランティアとして来て下さった方と、あとで話したことだ。

その方は某有名電機メーカーを定年まで勤めあげた開発者なのだが、製品開発についていろいろと教えてくれた。

基本的に開発は5〜数十人のチームで行う。3年に一度くらいは改良したモデルを出さなければならない。同じシリーズの改良をずっと同じチームがやる。

最近はチームの人数が増えた。昔は数人だったのが、高機能になるにしたがって数十人に膨れ上がった。人数が増えるとコストがかかるため、安い材料を使い、外国で生産するようになった。

機能を増やさないと、他社の製品に客を取られてしまう。業界は機能レースに陥っている。誰も使わないような機能でも付けないと販売で不利になる。意味がない。本当は、新しい機能をむやみに増やすよりも、すでにある機能を改良すべきだと思う。

なんとなく業界の裏側が見えた気がした。家電量販店の売り方には問題がある。機能重視ではなく使いやすさ重視の新しい売り方を提案できれば、大きなビジネスチャンスになるだろう。

また、突き詰めると製品を選ぶということは、チームを選ぶということなのだ。確かに洗濯機、冷蔵庫、炊飯器、ケータイ、ノートパソコン、カメラなど、どの種類の製品であってもよく見ると、性能や使いやすさに大きな差がある。賢く製品を買うということは、優秀なチームや自分と考え方の近いチームを選ぶということに他ならない。

たとえばこういう売り方はできないだろうか。製品それぞれに開発チームのプロフィールを載せるのだ。人はみな性格や能力の方向性が違うように、チームの性格や能力の方向性も違う。そういう情報は、今まで全く消費者には知らされなかった。

たとえばこんな感じだ。

「当社ではAシリーズとBシリーズの炊飯器を作っています。

Aシリーズの開発チームは若い独身者が多く、リーダーはPCやインターネットが好きで、そういうものを炊飯器にも取り込んでいくべきだという考え方の持ち主です。

このため、Aシリーズの炊飯器では若い単身者にとって重要な機能を追求しました。

タイマー機能はもちろん、寝る前に炊飯準備をしていないと自動的にアラームが鳴って知らせてくれます。炊飯自体はスピードを重視しました。また、へらの置き場所を他に確保しなくて良いようにホルダーを付けました。

さらに無線LAN機能を搭載し、ケータイからすべての操作が可能ですので、急な残業で帰りが遅くなっても炊き立てのご飯を食べることができます。

釜は洗いやすさを重視し、水洗いでもご飯粒が取れやすいようにしましたので、お急ぎの時は水洗いで十分です。

Bシリーズの開発者は所帯持ちが多いため・・・」

こういう売り方の方が売る方も買う方もWin-Winだと思うのだが、いかがだろうか。