
暑いですね!
私が小学生だった1980年代、東京の真夏日(30℃超え)は40日程度で、35℃以上の猛暑日はほとんどありませんでした。それが今や真夏日は60日、40℃前後まで上がることもある猛暑日は10日以上。夏は「出かける時期」から「こもる時期」へと根本的に変わってしまいました・・・と、年齢がバレてしまいそうなフィール・フィジックス代表の植田達郎です。
このニュースレターは弊社の活動にご協力いただいている皆様にお送りしています。今回は、理科の必要性に関するニュースのご紹介です。
7月の頭にこんなニュース*が流れました。
ニュース概要
日本の高校生の半数近くは、社会に出たら理科は必要なくなると考えていることが、国立青少年教育振興機構が日本、米国、中国、韓国の高校生に行った意識調査で浮かび上がった*。調査は2024年から25年にかけて、日本の高校生約5000人、米国の高校生約2000人、中国の高校生約8000人、韓国の高校生約2000人に実施した。
なぜこのようなことになったのでしょうか。報告書(とても長い)が挙げている理由を私なりに解釈すると以下の通りです:
科学に対する関心の低さ
- 親世代から理科離れが起きており、家庭や社会における科学技術に対する日常的な関心が高くありません。「科学は専門家のもの」という印象が強いため、将来の自分に関係がないと感じやすいと考えられます。
受験中心の学校教育
- 教科書ベース・受験中心で、実社会の課題解決や生活と科学がどうつながっているかをあまり扱っていません。実験も「教科書に沿った実験」に偏っており、「自分たちで課題を設定して探究する」ような学習は少ない傾向があります。
なんとも衝撃的なニュースです。しかし、調査結果を見てさらに驚いたことがあります。
役に立つ科目ワースト3は地学、芸術そして物理

なんと!こちらも、報告書が挙げている理由を私なりに解釈すると以下の通りです:
日常生活との乖離
- 高校物理は抽象的・数式中心の印象が強く、「日常の問題解決とどうつながるか」が実感されにくい教科です。したがって、「生活に役立つ」というイメージを持ちづらくなります。
理系職に対する不安
「将来なってみたい職業」として「科学者(8.4%)」「研究者」「物理学者」は不人気であり、IT・医療以外の理系職種への志望が極端に低いです。
物理を使う仕事(エンジニア、技術者、研究職)に自分が就くという将来像を描けていないため、「使う機会がない=役に立たない」と結びついている可能性があります。
日本企業では「文系総合職」枠での新卒採用が一般的で、文系学部出身でも営業・人事・企画など多様な職に就ける構造が長らく存在しています。
それに対して、理系職は専門職として限定される印象が強く、「やめたら他に行けない」という不安を持たれやすいのです。
確かに理解できる話です。では、高校生にとって理系職に進む魅力は何なのでしょう?たぶんそれは以下のような事柄になると思います:
先端技術(AI、宇宙開発、再生エネルギー等)に関わりたい
社会課題(環境・エネルギー・医療・宇宙等)を科学で解決したい
自分で発見・創造する楽しさを持ちながら仕事したい
昔はこういう意識付けは不要だったと思うのですが、今日においては必要なことなのでしょう。夏の過ごし方と同様に物理教育にも変化が求められています。
こんなことを意識しつつ、明日から2日間、物理教育研究会の実験講習会に講師として参加します。このニュースレターの読者の中には同じ講習に講師として参加される先生方が何人もいらっしゃいます。私も頑張りたいと思います・・・熱中症対策も意識しつつ!(すいません!)。