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こすると消えるボールペンがありますよね。
少し前にあれの4色のものを買ったのですが、黒・赤・青・緑を使ってメモやスケッチができ、自由に消せるので、表現力がぜんぜん違います。大変便利です。
「道具は使いよう」だなと感じた、フィール・フィジックス代表の植田達郎です。
このニュースレターは弊社の活動にご協力いただいている皆様にお送りしています。
今回は、理科実験を増やすためにAIを活用する方法のご提案です。
▼ 多忙を極める小学校の先生たち
小学校の先生は、授業準備、子どもたちとの関わり、保護者対応など、業務が山積みです。
多くの先生が勤務時間後も夜7時や8時まで残業し、週案(授業計画)作成だけでも1〜2時間を要します。
◎ 理科実験は特に大変
小学校の先生の多くは文系で、理科は苦手です
教材や器具が多く、準備と片付けに非常に手間がかかります
理科室の道具を探すだけで30分〜1時間かかることも
実験の安全管理や予期しない結果への対応に専門知識が必要
予備実験を夜遅くまで行うことも珍しくありません
▼ 理科専門の先生不足
小学校では一人の先生が全教科を担当するため、理科を専門とする先生は非常に少なく、理科が苦手な先生にとって授業準備は特に大きな負担となっています。
理科という教科に対して消極的な先生も珍しくありません。
▼ 現在の解決策とその限界
教科担任制:先生同士で教科を分担する制度ですが、大きい学校でしか実施できません
講師・支援員:退職教員などの外部講師が実験をサポートしてくれますが、依存しすぎると他の先生の経験不足につながります
デジタル教材:時間不足の時などにNHK for School(教育番組の動画配信サービス)などが活用されていますが、実際の実験体験の代替にはなりません
資料の分散: 授業の資料や指導案(授業の計画書)は、インターネットや教育関連書籍など様々な場所に分散しており、必要な情報を探すのに時間がかかります。
研修会: 毎日夜まで残業しているため、土日に研修会や勉強会に参加してベテランの先生から直接教えてもらうことは難しい状況です
▼ ベテランの代わりにAIによる手ほどき
私個人は、AIという道具が役に立つと考えています。
AIは、かつてない処理能力を持った情報検索サービスです(OpenAI社の技術者はAIの本質を「データ圧縮」だと言い切りました**)。
たくさんの公的機関や教育関係団体、理科サークルなどに蓄積された膨大な教育データ(指導案、実験提案、実験データ、事故情報など)から必要な情報を迅速に提供し、専門的な内容を小学校向けに分かりやすく変換することで、授業準備時間の大幅な短縮が可能になります。
一例を挙げましょう。以下は横浜物理サークルという教員サークルのHPに掲載されている実験の紹介* です:
簡単に雲をつくる 天野さんの発表
ペットボトルと手だけで簡単に雲(霧)を作る実験の紹介。テレビ東京の「いまからサイエンス」という番組で見たという。手で握りつぶせる薄手のペットボトルを準備する。この中にアトマイザーで消毒用アルコール(メタノールでも可)を1~2回噴霧する。キャップをしっかり閉めたら両手で持って、雑巾を絞るようにねじって握りつぶす。内部の気体に圧力が加わると共に手から熱が伝わる。
力一杯ねじって潰したら、手を放す。「ポン」という音と共にペットボトルは復元し、断熱膨張で急激に気体の温度が下がって、中に濃い白い霧(雲)が発生するのが観察できる。黒い背景を用意すると見やすい。再びねじって圧力を加えると霧は消え、何度でも再現できる。大変お手軽で演示効果の高い実験だ。
この情報のままだと小学校の先生は利用できませんが、AIなら瞬く間に以下のように変換してくれます。
これなら、読んだだけで実験できる先生もいらっしゃると思います(もちろん何人かにお見せしてご意見をインタビューした方が良いですが)。







簡単に雲をつくる 天野さんの実験
AIは、世界中の理科実験レシピをこのように誰でも利用できる形に変換する力を持っています。
まさに道具は使いようです。
▼ さらなる実践のために
もしこの内容について、さらに詳しく知りたい、または何らかの形で関わってみたいとお考えの方がいらっしゃいましたら、お気軽に私までお声かけください。
皆さんのご意見やアイデアが、これからの教育をより良くするヒントになると確信しています。
▼ 参考資料
ライブ:サム・アルトマン氏による「コアAIサブスクリプション」の構築について | セコイア・キャピタル
- サム・アルトマンCEOはAIの核心を「大量の情報を高度に圧縮し効率的に活用する能力」と見ている