では本当に、人類の誕生が旅の始まりなのでしょうか?違いますよね。人類はサルから進化したということは、今では子供でも知っていることです。サルの前はネズミのような姿をしていたと言われています。その前はトカゲのようなは虫類、その前はカエルのような両生類、さらにそのまえは魚類でした。脊椎動物の進化の歴史ってやつですね。そのまえは脊椎をもたないエビや三葉虫のような甲殻類やもっと小さいミジンコやゾウリムシのようなプランクトンでした。
この進化の歴史も、過酷なものでした。最近の研究で、この過酷さはとんでもないものだったということがわかってきました。巨大隕石によって地球の表面すべてが炎に覆われたり、逆に太陽の影響で地球の表面すべてが氷に覆われたりした時期がありました。そのたびに、ごくわずかな種類を残してほとんどの種類の生き物たちは、死滅してきました。
いいですか、想像以上に旅は過酷です。旅を続けることは、生き残ることは、簡単なことではない。油断していると、すぐ終わってしまう可能性だってある。我々は、本当に貴重な、その生き残りなのです。では、なぜ生物は全滅せず、生き残ったのでしょうか?
その秘訣は、多様性です。種類が多ければ、どんなに過酷な出来事が起きても、全滅することはない。わかります?例えば現代で、強烈な疫病がはやったとします。でも1億人に1人、その疫病に負けない体質の人間がいれば、人類は全滅せずにすみますよね。このように、いろんなタイプの生物がいることが、言い換えれば多様性が豊かであることが、旅を続けるのに大切なのです。
多様性とは、いろんな人(生き物)がいるということです。これは「個性」と言い換えることもできます。
- 背が高い人もいれば、
- わり算の苦手な人もいれば、
- 音楽の好きな人もいる。
いろんな人がいますよね。なぜいろんな人がいるのか?それは「個性」が必要なものだからです。「個性」がなければ、多様性がなければ、人類、いや生物全体は、とうの昔に全滅していたはずですよね。「個性」があるからこそ、今、我々が生きているのです。
第3章をまとめましょうか。「個性」とは可能性です。あなたは可能性を持っている。だから、あなたの外見にも、あなたの能力にも、あなたの性格にも、すべて存在意義がある。ただ、それをうまく発揮できるかどうかは、状況にもよる。それは、あなた自身が探していくしかありません。